管理栄養士の大学院レポート実例【食物学特論】

管理栄養士のそらです!

今回は管理栄養士として働き始めてから入学した社会人大学院のレポートの実例について書いています。

そら
そら
「食物学特論」の授業で提出したレポートの実例です。

食物学特論の大学院レポート実例【課題1】

【課題1】

下記の文章は、某新聞に掲載された記事です。相談者(13歳中学生女子)へのコメント、アドバイスを800字以内で答えてください。まず、あなたの立場を明確にしてコメント、アドバイスすること。(相談者の担任教諭or相談者の祖母等々、仮定して)

[掲載記事] 13歳中学生の女子です。小学5年生の弟のことで相談します。弟は食べ物の好き嫌いがとても激しいのです。人間なので、多少苦手な食べ物があっても仕方ないと思いますが、弟は「好き嫌い」の前に、「食べられるもの」が「食べられないもの」よりはるかに少ないのです。野菜はもちろんのこと、肉、魚、卵なども一切食べません。学校でも給食をいつも残して、家に帰るとお菓子の食べ放題です。父も母も働いていて、私も学校の部活があるので、弟は好き勝手にしています。私が「今日はニンジンだけでも食べよう」と何とか食べさせようとしても、弟はいうことを聞きません。親も弟に甘く、「そのうち食べるようになるよ」といいます。食事の大切さについて話しても、効果はありませんでした。こんな私を弟は嫌がり、最近は口をきかなくなってきました。私の心配のしすぎでしようか。この先どうしたらいいですか。


立場:相談者の担任教諭

弟さんのことをしっかりと考えていてえらいですね。子どもは大人と比べると味覚が敏感なので、弟さんのように苦手な物や食べられない物が多いという子もいます。ですが、成長期なのにお菓子ばかりの食生活では、必要な栄養素が不足してしまわないか心配になりますね。なので、弟さんの将来のことを考えると心配のしすぎということは決して無いと思います。

御両親が仕事で忙しいということなので、もしかしたら、弟さんは御両親が居ないことに寂しさを感じ、寂しさを紛らわすためにお菓子をついつい食べてしまうのかもしれません。なので、食事をするときはなるべく弟さんと一緒に食卓を囲んで、コミュニケーションをとりながら食事をすることで食事は楽しいことだと感じさせてあげると良いかもしれません。

また、その時は弟さんに「これ美味しいね」「もっと食べたい」など食事に対するプラスの言葉をかけて、楽しそうに食べるところを見せると、弟さんも食事をすることは楽しいことなのだと感じ、食事や食材に興味を持って食べてくれるかもしれません。あとは、食べられないものが多い様子なので、弟さん自身に食べられそうなものを食べられそうな量だけ選んでもらい、どんなに小さい一切れでも全部食べることができたら「すごいね」「ちゃんと食べられたね」など褒めてあげると食べることが出来たという自信に繋がるので、食事をすることを前向きに捉えることができるようになると思います。

弟さんも、食事が楽しいことだと分かれば、少しずつ食べられるものも増やすことができると思います。なので、○○さんの出来る範囲で弟さんが食事をすることは楽しいことなのだと教えてあげてください。


食物学特論の大学院レポート実例【課題2】

「健やかに生きる」からテーマを選び論じなさい。

※大きいテーマなので、自分の得意となる分野に落とし込んで論じています。


テーマ:うつ病の予防・改善に効果が期待できる栄養素や食生活について

人間と食物について、武藤は現在の日本人は豊富な食材に囲まれて暮らしているが、食物が豊富であるがゆえに栄養の偏りを招き、ひいては反健康状態を引き起こすと述べている。実際に、現代の日本において、脂質摂取量の増加や朝食欠食率の増加など食の乱れが指摘されており、結果、肥満や糖尿病などの生活習慣病、若い女性における痩せ、高齢者の低栄養など食と身体に関連した問題が指摘されている。一方で、人間が健やかに生きるためには、身体だけではなく精神面でも健全である必要がある。しかし、現代の日本においてうつ病や双極性障害をなどの気分(感情)障害で医療機関を受診している総患者数は、平成26年度の患者調査で約111万人と調査開始以来、過去最多となった[1]

うつ病に関するメカニズムはまだ解明されていないため、現在も多くの研究が進められており、近年の調査ではうつ病と食との関連が指摘されている。そこで、本レポートでは初めにうつ病に関連する用語の定義を述べ、うつ病と食生活や栄養素の関係について、テーマに関する既往研究を検索し、文献を抽出して考察を行うと共に、自身の意見を述べることとする。

まず初めに、うつ病の定義やメカニズムについて「うつ病」とは「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などの抑うつ気分が重症である場合を指す。また、うつ病の原因としてはストレスがよく聞かれるが原因不明なケースもあり、この場合では、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっていることが推測される[2]。しかし、うつ病発症のメカニズムについてはまだ十分に実証されておらず、うつ病のメカニズム解明が急がれている。

次に、関連する論文をうつ病、食、栄養及びその関連語をもとにCiNii、J-SATAGE、pubmed等にて検索し、学会誌に掲載された論文を中心に7件を収集した。その結果、n-3系脂肪酸とうつ病について検討されたものが2件、魚の摂取量とうつ病の関係について検討したものが3件、他栄養素や食事とうつ病の関係について検討したものが2件収集できた。

n-3系脂肪酸とうつ病の関連について、今回抽出した2件の論文より、Mazaheriounらはn-3系脂肪酸摂取によるうつ病改善の可能性について、軽度から中等度の抑うつ症状を有する2型糖尿病患者を対象にn-3系脂肪酸のサプリメントを摂取することで有意な抗うつ効果を有したと述べている[3]。またKeshavarzらは、n-3脂肪酸補給によりうつ病と肥満の共存症を有するダイエット女性においてうつ病の徴候および体重を減少させるのに有用であると述べている[4]。日本の国立研究開発法人が複数の研究結果をまとめたメタアナリシスでは、うつ病患者は健常者と比べて血液中のn-3系脂肪酸が低いこと、n-3系脂肪酸サプリメント(なかでもn-3系脂肪酸の一つであるエイコサペンタエン酸(EPA)含有率が高いもの)がうつ病治療に有益であることなどが報告されている。うつ病に対してn-3系脂肪酸が効果を示すメカニズムは明らかにされていないが、n-3系脂肪酸には抗炎症、免疫調整、神経伝達物質調整、神経保護など多様な作用があり、それらが抗うつ効果を示すのではないかと考えられると述べている[5]。以上のことから、うつ病に関して、n-3 系脂肪酸の摂取はうつ病の改善に一定の効果があることが示唆された。

次に、魚の摂取量とうつ病の関係について、n-3系脂肪酸を豊富に含む食材として魚類が挙げられるが、魚の消費量や摂取量とうつ病の関連も指摘されている。Hibbelnらは、うつ病の有病率とその国の魚の消費量について多国間の地域相関を調査した結果、アイスランドや日本など魚の消費量が多い国ほど、うつ病の罹患率が低くなると述べている[6]。また、日本の国立研究開発法人が魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について調査した結果、魚介類を1日111g食べるグループでうつ病のリスクが低下したと報告された[7]。以上のことから魚の摂取がうつ病の予防・改善に効果的である可能性が示唆された。

最後に他栄養素とうつ病の関連について、日本における功刀らの報告では、健常者群と比較してビタミンでは葉酸が低値を示す者がうつ病群に有意に多かった。また、アミノ酸では,うつ病群で血漿トリプトファン値が有意に低下していた。嗜好品では,うつ病患者は緑茶を飲む頻度が低い傾向がみられた。しかし、鉄や亜鉛などのミネラルの血清中濃度とn-3 系多価不飽和脂肪酸濃度は、両群の間で有意差は見られなかった。また、南里らは労働者を対象に血中の葉酸・ビタミンB6・ビタミンD・食事パターンと抑うつ症状との関連を検討した結果、血中葉酸濃度、ビタミンB6濃度、ビタミンD濃度が高いほど抑うつ症状が少ない傾向であった。加えて、野菜や果物、大豆製品、きのこなどの高摂取により特微づけられる健康日本食パターンは抑うつ症状の低下と関連していた。健康日本食パターンは、葉酸やビタミンC、ビタミンE などの摂取と関連しており、葉酸には脳内の神経伝達物質を合成し、うつや認知症との関連が報告されているホモシステインを減らす働きがある。また、ビタミンC やビタミンE などの抗酸化ビタミンはうつ症状の低下に働く可能性がある。これらの栄養素の複合効果により、抑うつ症状が低下したと考えられると述べている[8]。以上のことから、日本のうつ病患者においても栄養素や食生活、特に日本人型の食生活である健康日本食パターンとうつ病の関連性が示唆され、うつ病患者に対する栄養学的アプローチの重要性が示された。

上記の内容をまとめると、うつ病にはn-3系脂肪酸、ビタミン・ミネラル類など幅広い栄養素が関係している可能性があり、特にn-3系脂肪酸はうつ病との関連性を示す報告が多数あることから、n-3系脂肪酸の摂取、ひいてはn-3系脂肪酸含有量の多い魚の摂取がうつ病の予防・改善に寄与する可能性があるといえる。また、魚や野菜、果物、大豆製品、きのこなどの摂取が多い日本人型食生活が、うつ病を予防・改善させる可能性も示唆されており、このことから、近年の我が国におけるうつ病増加の背景には、食の欧米化による魚の摂取量の低下やビタミン・ミネラル類の不足などの食の乱れが一因となっている可能性が考えられる。日本人型食生活は健康に関心が高まりつつある現在、改めて見直され推進されているが、身体面に加え精神面での健康も保つことができる可能性が示されれば、今後の推進の後押しになるといえる。また、個々のライフステージにおいて食生活や食に対する考え方は、前のステージの影響を受けており、その後の食行動や心身の健康にも影響を与える。そのため、健康状態を維持し健やかに生きるために、うつ病予防の観点からも、ライフステージの初期である幼児期や学童期で正しい食習慣や食の知識をつけることが重要である。そして、幼児期や学童期の食教育の中で日本人型食生活を勧めていくこと、また、親世代への啓発も同時に行っていくことの必要性がより高まるといえる。

しかし、うつ病のメカニズムや食事・栄養素との関連についてはまだ十分に実証されておらず、現在も食事や栄養素の面から多くの研究が続けられている。今後、更なる研究によりうつ病と食事や栄養素との関連が解明されていくことが求められる。

【参考文献】

[1]平成26年患者調査,厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/dl/01.pdf(2018年8月21日閲覧)

[2]厚生労働省:みんなのメンタルヘルス,うつ病https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html(2018年8月21日閲覧)

[3] Mazaherioun, Saedisomeolia, Javanbakht et all:長鎖n‐3脂肪酸は2型糖尿病のうつ病症候群を改善する,Iran J Public Health. 2018 Apr;47(4),pp.575-583.

[4]Keshavarz,Mostafavi,Akhondzadeh et all,うつ病と肥満の共存症を有するダイエット女性における体重とうつ病に対するω-3補給の効果をプラセボ群と比較した無作為臨床比較試験,ClinNutr ESPEN.Jun(25),p37-43,2018

[5] 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター:魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7983.html(2018年8月21日閲覧)

[6]Hibbeln JR:Fish consumption and major depression, Psychiatr Serv.Apr52(4),p529-31,2001

[7] Y J Matsuoka, N Sawada, M Mimura,etc:Dietary fish, n-3 polyunsaturated fatty acid consumption, and depression risk in Japan: a population-based prospective cohort study,Translational Psychiatry7, p1242,2017

[8]南里明子,溝上哲也:食事・栄養要因および食事パターンと抑うつ症状との関連,心身医学(54)9,p.835-841,2014


食物学特論の実際のレポートです!参考文献を探すのが結構大変・・・( ;∀;)

正解が分からないので、テーマの設定など書き始めるまでに悩みました。

そら
そら
参考になるか分からないけどこんな感じです!
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