病院で10年以上、管理栄養士として働いているそらです!
栄養指導でのSOAPの書き方が分からない
栄養指導でのSOAPの書き方のポイントを知りたい
という方に、栄養指導でのSOAPの意味や書き方の記入例を例文を使って解説していきます!
結論から言うと
SOAPとは経過の記録をする様式の1つ
S:主観的情報(subjective)患者さんの訴え
O:客観的情報(objective)所見や診察などから得られた情報
A:評価(assessment)SとOの情報から分析した内容
→PES方式で記載
P:計画(plan)Aにより決定した治療方針や指導など
→長期→中期→短期目標
Mxモニタリング
Rx栄養ケア
Ex栄養教育
に分けて書く方法です。
栄養指導でのSOAP記入例は日本栄養士会の報告例の「2ページ目」が参考になります。
SOAPの書き方のポイントは、
「数値を使う事」です!
では詳しく解説していきたいと思います。
栄養指導のSOAPとは経過の記録をする様式の1つ
SOAPとは経過の記録をする様式の1つで、
O:客観的情報(objective)所見や診察などから得られた情報
A:評価(assessment)SとOの情報から分析した内容
P:計画(plan)Aにより決定した治療方針や指導など
の4つに分かれています。
SOAPを使う理由としては、
・問題とそれに対するケアが明確
・思考の流れがわかりやすく、根拠のあるケアにつながる
といったように、問題解決への施行の流れが明確に分かりやすい点にあります。
日本栄養士会から「POS(問題志向型システム診療録)に基づいて、SOAP方式でまとめる」ことが推奨されています。
また、看護師や医師など他職種でも使われていることから、情報共有にも有効ですね。
栄養指導でのSOAPの書き方、記入例
S:主観的情報(subjective)患者さんの訴え
患者さん本人の言っていることです。
指導の際に聞き取りで、患者さんが話した自覚症状や、食事内容、生活状況などです。
会話の中から、栄養指導での効果、改善、問題点など表現できるポイントとなるキーワードを拾いましょう。
・酒は飲まない
・ダイエットしてるつもりなのに太ってきた。
・夜の間食がやめられない
・野菜が嫌いなのであまり食べない
O :客観的情報(objective)所見や診察などから得られた情報
検査や測定で出たデータ・数値など客観的に得られる情報です。
・基本的情報:性別、年齢、診断名、薬
・栄養関連の内容:摂取カロリー、食事時間、栄養補助食品
・身体状況:身長、体重、BMI、標準体重
・生化学検査:血液検査結果など
・身体所見:外見、嚥下機能、食欲、感情
・身体状況:身長173㎝、体重79㎏、65歳、男性、BMI
・生化学検査:血糖値:180mg/dl、HbA1c:8.2
・食物摂取状況:食べたものなどの聞き取り内容、摂取カロリー:2800kcal
・運動状況:散歩で20分ほど歩く
A :評価(assessment)SとOの情報から分析した内容:栄養診断と根拠
SやOに対する判断や思考から栄養診断とその根拠を記載します。
SとOで得た情報を分析・考察した内容です。患者さんは今どのような状態にあるか、また今後どのような処置や検査、対応が必要になるかといったことを総合的に判断し記入します。
アセスメントの手順としては、
①SとOから栄養診断コード※の中で当てはまるものを選び、その中で栄養問題の根源となっているものを1~3つ選ぶ。
「栄養診断コード」とは栄養士会発行の「国際標準化のための栄養ケアプロセスマニュアル」という本に載っているコードで、本を買わないと書けないという!!
しかも高い( ;∀;) 栄養診断コードの一覧をネットで探しても著作権の問題か、載せているサイトはなさそう・・・。
必須ではないので書かなくても良いですが、今後、栄養指導を頑張るぞという方は1冊手元に置いておいたほうが良い本です!(私も持ってます!)
②栄養診断をPESで記入
PESの内容で記載
1.P:problem 健康上の問題
栄養診断、問題点
2.E:etiology 関連因子=問題の原因または病因
原因や関係しているリスク
~に関係した
3.S:signs & symptoms=診断指標
~の根拠により
↓
PESで記載した実例を出すと、
「栄養診断の根拠:sの根拠により、Eが原因となったPの栄養状態と診断できる」のたった一文となります。
原因が複数ある時は、いくつかの栄養診断がつくことになります。
【「A」栄養指導での記載例】
栄養診断:NI2-2経口摂取量過剰
栄養診断の根拠:食事調査で2800kcal摂取しており、指示栄養量1700kcalの164%である。
BMI29、HbA1c8.2%から、摂取量を減らすことへの無関心による経口摂取量過剰の状態と栄養診断できる。
P:計画(Plan)Aに基づく今後の予定や計画
Aに基づく今後の予定や計画です。
目標設定について、対象者と一緒に最終目標の設定をします。長期→中期→短期目標の順に設定しましょう。
記載方法は
Rx:栄養ケア
Ex:栄養教育
に分けて記載します。
Mx:モニタリング
モニタリングする数値に関して記載します。
Rx:栄養ケア
対象者の意識、知識、技術を十分に勘案し無理のない実践可能な計画を立てる。
目標栄養量
Ex:栄養教育
対象者への栄養教育の内容
細かく目標を書くとすると
Mx:モニタリングの長期→中期→短期目標
Rx:栄養ケアの長期→中期→短期目標
Ex:栄養教育の長期→中期→短期目標
という感じになりますが、正直これ全部書くのは大変なので、出来そうな目標に絞って書きましょう。
Rx栄養ケア:長期目標:1700kcalの食事の継続
短期目標:1700kcalの食事に近づけるため野菜摂取を増やす
Ex栄養教育:短期目標:アルコールの適量が分かる
とりあえず栄養士会の事例報告様式「2ページ目」を印刷して、確認しながら記載しよう↓
POSやSOAPなど単語の意味
- POS:患者の抱える問題を解決するための一連の作業システム
- POMR:POSを実践するために作られた診療の記録方法
- SOAP:POMRの中にある経過記録の記録方法
- PES:SOAPの中のAの中で使う記録様式
P:problem 健康上の問題
E:etiology 関連因子=問題の原因または病因
S:signs & symptoms 診断指標=一群の徴候と症状
栄養指導でのSOAP書き方のポイントは「数値」
重要なことは、栄養指導記録を見るのは多職種ということです。なので、他の職種にも分かるように書く必要があります。
具体的には「数値を使う」ということ。
〇摂取カロリーが3000kcalと、目標カロリーである1800kcalの167%である。
他にも「目標体重と比べ〇㎏プラス」
「糖尿病の食品交換表より、炭水化物が目標よりも5単位(400kcal程度)多い」など。
このように、数値を使うことで、他の職種の方が見ても理解しやすくなります。
SOAPに関する栄養指導のための本
SOAP形式での栄養指導記入をするために必須となるのが、「栄養診断」の項目が載っているこちらの本です。
高いですが、めちゃくちゃ詳しく載ってます。
目次だけでも4Pくらいあります。
他に、栄養診断や栄養指導の流れについて、もっと詳しく知りたいという方におすすめなのが、日本栄養士会の講座です。
栄養士会だけあって、講師も現場でバリバリ働いているプロフェッショナルの方ばかり、内容も基礎から実践的なものまで、かなり内容が濃いので1回受けてみるのがおすすめです。
栄養士会会員じゃないと受けられないのが難点ですが、1年だけ講座目的で入る価値はあります。
確実にレベルアップできると思います。
日本栄養士会講座:https://www.dietitian.or.jp/apps_web2/trainings/
まとめ:栄養指導でのSOAPの書き方や意味、記入例
SOAPとは経過の記録をする様式の1つ
O:客観的情報(objective)所見や診察などから得られた情報
A:評価(assessment)SとOの情報から分析した内容
→PES方式で記載
P:計画(plan)Aにより決定した治療方針や指導など
長期→中期→短期目標
Mxモニタリング
Rx栄養ケア
Ex栄養教育
に分けて系統立てて書く方法です。
栄養指導記録の基本であるSOAPを使いこなして、分かりやすい栄養指導記録が書けるように一緒に頑張りましょう!
管理栄養士として病院で働いているそらです! この記事では実際に病院の管理栄養士仲間に聞いた 栄養指導で使っている資料や媒…
現在、病院にて管理栄養士をしているそらです! 初回や2回目以降の栄養指導のやり方が分からない 病院での栄養指導の手順を知…