遺伝の仕方は優性遺伝と劣性遺伝の大きく分けて2つあり、原因となる変化が常染色体にあるか性染色体にあるかでさらに種類が分かれます。
特に、遺伝性疾患の遺伝に関わってくる遺伝の仕方は、「常染色体遺伝」「X染色体(伴性)遺伝」です。
常染色体遺伝とX染色体(性染色体・伴性)遺伝の違い
画像:Tokyo Women’s Medical Universityより
常染色体遺伝とX染色体(伴性)遺伝の違いは、
- 病気の原因となる遺伝子が常染色体の上にあるか(常染色体遺伝)、性染色体の上にあるか(X染色体(伴性)遺伝)の違い。
常染色体(じょうせんしょくたい)は性染色体以外の染色体のことであり、ヒトの体細胞は22対、44本の常染色体を持つ。
性染色体は、雌雄によって形態や数が異なる染色体。性染色体以外の雄雌で共通な染色体は常染色体と呼ぶ。
X染色体(伴性)遺伝と性差
伴性遺伝の中で、特に片側の性のみに遺伝する場合、例えばY染色体・W染色体特有の遺伝子による遺伝などを、特に限性遺伝と呼ぶ。
例えばヒトではY染色体上に男性を決定づけるSRYという遺伝子があるため、この染色体をもつ個体は男になる。
男性はX染色体とY染色体を持ち(性染色体型がXY)、女性は2つのX染色体を持っている(性染色体型がXX)。
X染色体に異常が生じた場合、女性はもう一方のX染色体によって補うことが出来るのに対して、男性は1つしか持たないため、男性だけに発症、または女性より男性が重篤となる疾患がある。
常染色体優性遺伝
変化を持つ遺伝子を1つ受け継いだときに発症する遺伝の仕方を優性遺伝という。
- 両親のどちらか一方が変化のある遺伝子を持つ場合、50%の可能性で次世代へ伝達
- 性別は関係なく罹患
マルファン症候群
マルファン症候群とは、遺伝的な要因で結合組織などに障害があるために、大動脈や骨格、眼、肺を中心に全身障害が生じる遺伝性疾患です。
伝子異常によって結合組織(細胞と細胞をつなぎとめる役割など持つ線維成分)などに障害があるために、全身のあらゆる臓器・系統に障害が現れる疾患の総称です。
主に心臓や血管、骨格、眼、肺、皮膚などに影響が生じますが、最も重篤な転帰をもたらす臓器は大動脈で、若くして大動脈瘤を発症し、重度の場合には大動脈解離(大動脈の壁の一部が裂けてしまい、突然死の原因にもなる)に至る場合もあり慎重な管理が求められます。
- 高身長で痩せ型
- 細くて長い指
- 背骨が曲がる(側弯症)、腰痛
- 漏斗胸、鳩胸など胸郭の変形がある
- 扁平足
骨形成不全
家族性高コレステロール血症
10歳までに肘や膝などの皮膚に黄色腫と呼ばれる黄色いいぼ状の塊が見られることが多いです。
成長とともに、 結節 状にもりあがった黄色腫が認められるようになります。
こ れは、肘や膝、手首、おしり、アキレス腱、手の甲などに多く認められます。大動脈弁や冠動脈に動脈硬化が進行すると、階段を上がると胸が痛い、苦しい、という症状がでることがあります。ヘテロ接合体では、重症例で皮膚の黄色腫が見られることがありますが、10歳以後におきることが多いです。
経過は小児期に皮膚黄色腫で気づかれ、血液検査で著明な高コレステロール血症がわかり、診断されます。
薬や治療により適切な間隔で持続できれば、動脈硬化の進行を遅くすることができます。適切な治療を行わない場合、 予後 は極めて不良です。
ハンチントン病
神経変性疾患で、 舞踏運動(自分の意志がないのに体が動く)などの 不随意運動 、精神症状、行動異常、認知障害などを臨床像の特徴とします。これらの症状はいつのまにか始まり、ゆっくり進行します。
舞踏運動(Chorea):最初は単に落ち着きが無いと思われる程度ですが、次第に、四肢末端から顔面、体幹へ広がります。顔面に広がると、顔をしかめる、口をすぼめる、頸部を振るなどの状態が観察されます。
精神症状:性格変化、易刺激性、抑鬱、知能低下、時に自殺企図(親族に自殺者が多いこともあります)
認知機能障害:注意力障害、記銘力障害
若年発症の筋強直型:Westphal型では寡動、振戦、固縮などが出現することもあります
これらの症状は脳の特定の部分である大脳 基底核 や大脳皮質が萎縮してしまうために生じます。これらの変化はCTやMRI等の画像検査でみることができます。
30歳くらいで発病される患者さんが多いのですが、小児期から老齢まで様々です。男女差はほとんどありませんが、優性遺伝の病気なので両親のどちらかが同じ病気であることがほとんどです。
日本では人口10万人あたり0.7人と欧米の1/10です。
治療法は、症状を緩和するお薬はありますが、根本的な治療法はありません。
経過は患者さんによって大きな差がある。一般には、社会生活を独力で送ることが困難になるほどに症状が進行するのには発病から10年以上かかるようです。
神経線維腫症I型(レックリングハウゼン病)
カフェ・オ・レ斑と神経線維腫を主徴とし、その他骨、眼、神経系、(副腎、消化管)などに多彩な症候を呈する母斑症であり、常染色体性優性の遺伝性疾患である。
神経線維腫I型の生命の予後は比較的良い。
若年者では腫瘍が成長して、急速に難聴などの神経症状が進行することがある。
両側聴神経鞘腫など頭蓋内腫瘍の成長を制御できない場合には、QOLが悪化し、生命の危険も高い。
多発性嚢胞腎
「多発性嚢胞腎」とは腎臓に嚢胞(水がたまった袋)がたくさんできて腎臓の働きが徐々に低下していく病気で、わが国の患者数は約30,000人と推定されています。
多くの患者さんは成人になってから症状がでます。しかし、小児期から高血圧などを合併することもあります。地域差、男女差はありません。
初期には無症状です。しかし、徐々に腎臓の嚢胞が増えて腎臓全体が大きくなり、腹が張ってきます。そうすると腎臓の働きが悪くなり、食欲低下、疲れやすい、だるい、さらには息切れなどが出現します。また肝臓にも嚢胞ができますし、高血圧を合併することが多く、脳出血も通常より高い頻度で起こります。
薬により腎臓の嚢胞が大きくなることを防ぐが、この効果は多発性嚢胞腎の一部の患者さんにしか明らかではありません。
徐々に腎機能が低下し腎不全となり、透析療法が必要となります。60歳頃までに約50%の人が腎不全になります。また頭蓋内出血の危険性が高い事も、注意点です。
常染色体劣性遺伝
両方の親から変化を持った遺伝子を受け継いだときに発症する。
この場合、片方だけが変化を持つ遺伝子である場合は、病気を発症しませんが保因者という。
- 25%の確率で罹患児が出生。
- 保因者同士の子孫が罹患
- 性別関係なく罹患
- 人種的背景および近親婚が発症率に影響を与る
糖尿病
高血糖そのものによる症状を起こすこともあるほか、長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質と結合する糖化反応を起こし、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症といった三大合併症を生じる。
フェニルケトン尿症
「フェニルケトン尿症」とは食品の蛋白質に含まれている必須アミノ酸のフェニルアラニンをチロシンという別のアミノ酸に変える 酵素 の働きが生まれつき弱く、身体にフェニルアラニンが蓄積しチロシンが少なくなる病気です。
フェニルアラニンが蓄積すると精神発達に障害をきたし、チロシンが少なくなると色素が作れなくなり髪の毛や皮膚の色は薄くなります。
この病気の発生頻度は約8万人出生で1人とされていますので、全国で500人程度と思われます。また補酵素の欠乏症は約170万人出生で1人とされていますので、全国で50人程度と思われます。
新生児期にはほとんど症状はありませんが、血液中フェニルアラニン値の高値が持続すると発達遅滞などの神経症状を発症することになります。増加したフェニルアラニンはネズミ尿臭のあるフェニルケトン体として尿に排泄されます。またチロシンの欠乏は赤毛や色白などの色素欠乏症を引き起こします。
さらに補酵素の欠乏症では上記の症状に加えて早期からほ乳不良や夜泣き痙攣などより重い神経発達の障害が見られます。
タンパク質を制限してフェニルアラニンの摂取を押さえ、不足する他のアミノ酸を治療粉乳で補う食事療法で治療ができます。補酵素欠乏症では食事治療の他、補酵素と神経の働きを助けるお薬で治療ができます。しかし、これらの治療は生涯にわたって必要です。
経過は食事療法によってコントロールすることで発症を予防することができます。補酵素欠乏症でも治療を正しくしていれば全く正常に発育発達します。
X染色体(伴性)劣性遺伝
伴性劣性遺伝疾患が女性の保因者の場合
伴性劣性遺伝疾患の影響を受けている男性の場合
遺伝子の何らかの変化(遺伝子変異)がX染色体の1本にあるものを言う。
女性はX染色体を2本、男性はX染色体とY染色体をそれぞれ1本ずつ持つ。
遺伝子の変化を母親からもらった男性は、症状が出る可能性がある。
- 25%の確率で罹患児が出生
- 男性が主に罹患
- 罹患男性の娘はすべて保因者。
- 男性から男性への伝達はない。
- 保因者女性の息子は半分が罹患。
赤緑色覚異常
先天色覚異常の中でもっとも多く存在し、赤系統や緑系統の色の弁別に困難が生じる人が多いとされる。色の弁別に困難が生じるだけで、視力は正常である。日本人では男性の約5%、女性の0.2%が先天赤緑色覚異常で、日本全体では約290万人が存在する。北欧にルーツを持つ男性では約8%、女性では約0.4%で先天赤緑色覚異常がみられる。
脊椎動物の色覚は、網膜の中にどのタイプの錐体細胞を持つかによって決まる。魚類、両生類、爬虫類、鳥類には4タイプの錐体細胞(4色型色覚)を持つものが多い。よってこれらの生物は、長波長域から短波長域である近紫外線までを認識できるものと考えられている。一方、ほとんどの哺乳類は錐体細胞を2タイプ(2色型色覚)しか持たない。
哺乳類の祖先である爬虫類は4タイプすべての錐体細胞を持っていたが、2億2500万年前には、最初の哺乳類と言われるアデロバシレウスが生息し始め、初期の哺乳類はおもに夜行性であったため、色覚は生存に必須ではなかった。結果、4タイプのうち2タイプの錐体細胞を失い、青を中心に感知するS錐体と赤を中心に感知するL錐体の2錐体のみを保有するに至った。これは赤と緑を十分に区別できない、いわゆる「赤緑色盲」の状態である。この色覚が哺乳類の子孫に遺伝的に受け継がれることとなった。
血友病
出典:CSL Behring
X染色体上にある、血液凝固因子の異常によって発症。女性の場合、もう一方のX染色体に異常が無ければ発症しない(保因者となる)。
主な症状は過剰な出血です。関節内や筋肉内、腹部や頭部の内部、傷口から、歯科治療時、手術時に出血することがあります。血友病の小児はあざができやすくなります。
出血の程度は、遺伝子異常が第VIII因子や第IX因子の血液凝固活性にどれだけ影響しているかによって異なります。
性染色体劣性遺伝 筋ジストロフィー
「性染色体劣性遺伝」ではなく一般的なASL
X染色体の異常により発症。
骨格筋の 壊死 ・再生を主病変とする遺伝性筋疾患の総称です。
筋ジストロフィーの中には多数の疾患が含まれますが、いずれも筋肉の機能に不可欠なタンパク質の設計図となる遺伝子に 変異 が生じたためにおきる病気です。遺伝子に 変異 が生じると、タンパク質の機能が障害されるため、細胞の正常な機能を維持できなくなり、筋肉の 変性 壊死 が生じます。その結果筋萎縮や脂肪・ 線維化 が生じ、筋力が低下し運動機能など各機能障害をもたらします。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4522
伴性高IgM症候群
X染色体上に存在するCD40LG遺伝子に異常が生じることにより、免疫グロブリンのクラススイッチが起こらずIgG、IgA、IgEの低値IgMの高値が見られる(正常値の場合もある)。
なお、高IgM症候群の中には、例えば活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)に変異があるために発症する場合などもあって、こちらは伴性遺伝ではない。このように、必ずしも伴性遺伝だけが原因で高IgM症候群が起こるわけではないことを付記しておく。
伴性無γ(ガンマ)グロブリン血症(ブルトン型無ガンマグロブリン血症)
伴性劣性遺伝する。X染色体上にあるブルトンチロシンキナーゼ(英語版)が機能を失ったことにより、プレB細胞からB細胞への分化が行われない。このため正常な抗体を作ることができず、免疫力が大きく低下する。
ウィスコット・アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome: WAS)
https://step1.medbullets.com/immunology/105004/wiskott-aldrich-syndrome
伴性劣性遺伝。免疫に異常を来たす。通常は男児だけに発生。
抗体(免疫グロブリン)の産生異常とT細胞(Tリンパ球)の機能不全、血小板数の減少、湿疹などを特徴とする遺伝性の免疫不全疾患。
生存のためには幹細胞移植が必要です。症状は、血小板の数が不足するため出血しやすくなります。通常は、最初の症状として血の混じった下痢がみられます。また、早い時期から湿疹が起きます。
X(性)染色体上の遺伝子における突然変異に起因します(X連鎖疾患と呼ばれます)。この遺伝子は、T細胞とB細胞が機能するのに必要なタンパク質をコードしています。突然変異によって、T細胞とB細胞は機能できなくなり、B細胞は免疫グロブリンを正常に産生できません。
血小板(特殊な細胞の断片で、血液の凝固を助ける働きがあります)は小さく、変形しています。そのため、脾臓がそれを取り除いて破壊してしまい、血小板の数が少なくなります。
免疫グロブリンの量が少なく、T細胞が機能しないため、ウイルス感染や細菌感染(特に呼吸器感染)を起こしやすくなります。がん(リンパ腫や白血病など)と自己免疫疾患(溶血性貧血、炎症性腸疾患、血管炎など)の発生リスクが高まります。
余命が短くなります。若年での死亡はほとんどの場合が出血によるものですが、感染症、自己免疫疾患、がんが原因の場合もあります。
X染色体(伴性)優性遺伝
ほとんどの伴性遺伝疾患は劣性だが、ごくまれに優性に遺伝する場合がある。
伴性優性遺伝によって発生する疾患は、X染色体にスペアのある女性でも発症する。
なお、X染色体にスペアのある女性よりも、X染色体にスペアのない男性の方が重篤となることが多い。
- 50%の確率で罹患児が出生。
- 発症は男女関係ない。
レット症候群
「レット症候群」とは乳幼児期に症状が現れる発達障害で、ほとんど女児におこります。症状や病気の程度には大きな幅があります。
病気の約8割以上を占める典型的な患者さんでは、生後6か月くらいまでは一見正常に見えますが、それ以降に、体が柔らかい、四つ這いや歩行などの運動の遅れ、外界への反応が乏しい、視線が合いにくいなどの自閉症状が出ることが多いです。
多くは1歳6か月から3歳までに、今まで使っていた手の運動が上手にできなくなり、手を合わせる手もみ、手絞り様、一方の手で胸を叩くような動作などの、特有な手の常同運動が出現します。
この時期に四つ這い、歩行などの運動機能もできにくくなり、それまで出ていた言葉が出なくなったりする退行現象が認められます。
また、必ず出る症状ではないですが、頻度の高い症状として、けいれん、呼吸の異常、頭囲の発育の伸びが鈍くなるなどの症状が現れます。診断は上に述べたような、発達の特有な病歴、診察所見でおこないます。日本では1万人の女児に0.9人くらいの有病率と報告されています。
MECP2変異によるレット症候群は、X連鎖性優性遺伝の遺伝形式ですが、ほとんどの患者さんは、遺伝傾向はなく一人だけ(孤発例)の発症です。
重度の知的障害、言葉の遅れ、自閉症状、てんかん発作、後天的な小頭症、歩行時の異常、フラツキ、体が硬くなり、捻じるような動作、夜間に覚醒して騒ぐ、睡眠障害、歯ぎしり、過呼吸―無呼吸を交互に繰り返す呼吸障害、および小さく冷たい手足、頑固な便秘などの自律神経症状、脊柱の側彎などがおこります。
根本的な治療法はまだ開発されていません。モデル動物では、骨髄移植、遺伝子治療がされて、一定の効果が報告されていますが、ヒトでの応用は難しいと考えられています。症状による対症療法がおこなわれています。運動に対して理学療法、作業療法、言語に対する言語療法、けいれんに対して抗けいれん薬の調整、側弯に対するコルセット使用、整形外科的治療、歯科治療、その他、水泳、音楽療法などが試みられています。
くる病
「ビタミンD依存性くる病/骨軟化症」とはビタミンDの代謝あるいは感受性の障害により、骨に石灰化が起こらず、強度が不足する病気です。このため、成人期ではビタミンD 依存性 骨軟化症と呼ばれますが、小児期には成長も障害され、骨X線検査で特徴的な所見を呈し、ビタミンD依存性くる病と呼ばれます。
腎臓における活性型ビタミンDの産生に異常のある型をビタミンD依存症1型、活性型ビタミンDに対する標的器官の反応が欠如あるいは不良(ビタミンD受容体の異常)である型をビタミンD依存症2型(ビタミンD受容体機構異常症)と呼びます。ビタミンD不足によっても同様な症状が起こりますが、この病気は 遺伝子の変異 によることが多く、病気としては区別されます。
文献的な検討では、世界でそれぞれ100例程度と考えられます。
ほとんどの場合1~2歳以内に発症しますが、10歳以上での発症例の報告もあります。劣性遺伝するので、家族・親戚に同様な症状を示す方がいる場合もあります。
1型:ビタミンDの活性化に関わる 酵素 (1位水酸化酵素)の異常
2型:ビタミンD受容体の異常
くる病所見や、低カルシウム血症によるテタニーやけいれんなど。検査としては、低カルシウム血症、低リン血症、高アルカリフォスファターゼ血症、くる病性の骨変化、二次性の副甲状腺機能 亢進 症を呈します。血中活性型ビタミンDは、1型で低下、2型で上昇します2型の半数以上に禿頭を伴います。
8自然に軽快する例や治療により治癒し以後再発しない例もありますが、3歳までに肺炎や痙攣のため死亡する例や治療に抵抗する例、また治癒した後再発する例もあります。
アルポート症候群( Alport syndrome)
アルポート症候群(Alport症候群)は慢性腎炎、難聴、眼合併症を呈する症候群であり、約9割がX連鎖型遺伝形式を示し、その重症例では男性で10代後半から20代前半に末期腎不全に進行する。
進行性の慢性腎炎であり一般に予後不良である。小児期には通常腎機能は正常であるが、思春期以後徐々に腎機能が低下し、X連鎖型男性患者では10代後半、20代、30代で末期腎不全に至るものが多い。
X連鎖型女性患者は一般に進行が遅く、腎不全に進行することは稀である。常染色体性では男女差はなく、X連鎖型男性患者と同様に予後不良である。
参考