納豆に含まれるポリアミンが血圧を下げる!
ポリアミンとは、アミノ酸から作れる成分で「プトレッシン」「スペルミジン」「スペルミン」などがあり、身体の細胞内でDNA合成や細胞の成長などをサポートしています。 最近の研究で、ポリアミンが血圧を下げる効果があることがわかってきました。 ポリアミンは、血管の内側にある細胞に作用して血管を拡張させ血圧を低下させる効果や、アンジオテンシンという血管を収縮させる物質の産生を抑えることで、血圧を上げる原因を減らしてくれます[1]。 ポリアミンは他にも、腎臓の機能を改善する働きもあります。 腎臓は、体の中の余分な水分や老廃物を排出することで、血圧を調整する大切な働きをしています。そのため、腎臓の機能をサポートして、血圧を下げる効果があることも分かっています[1]。 ポリアミンは豆類、きのこ類などに多く含まれていますが、特に大豆に多く含まれています。そのため、大豆からできる納豆を食べることで、高血圧の改善が期待できるといわれています。 注意点として、ポリアミンは加熱調理によって破壊されやすい成分。なので、納豆など生で食べることがおすすめです。ナットウキナーゼが高血圧に効果的!その理由とは?
ナットウキナーゼは、納豆の主成分である大豆に含まれる酵素の一種であり、血液の循環を改善する効果が知られています。 ナットウキナーゼをとることで血液の凝固を防ぐ作用があり、血栓症や動脈硬化の予防に有効であることが報告されていますが、さらに最近の研究により、ナットウキナーゼには血圧を下げる効果があることがわかってきました。 血圧が高めの方がナットウキナーゼを補給すると血圧が下がったという研究もあります[2][3]。 これは、血栓があると血管が狭くなり、血を流すために圧をかけないと流れなくなるため高血圧になってしまいますが、ナットウキナーゼの血栓を溶かして血液をサラサラにする効果により、詰まっていた血管が広くなり、血圧を下げてくれるのはないかと考えられています[4][5]。 ナットウキナーゼは、主に納豆に含まれる成分のため、納豆から摂取することが一般的です。 特に、長時間発酵させたものには、より多くのナットウキナーゼが含まれているとされています。ただし、納豆には独特の匂いや味があるため、苦手な人もいるかもしれませんがサプリメントなども販売されているのでうまく取り入れてみてください。 注意としてナットウキナーゼには血液をサラサラにする作用があるため、抗凝固剤や血圧降下薬などを使用している人は、摂取前に医師に相談することが必要です。 ナットウキナーゼは熱によって効果がなくなってしまいます。納豆チャーハンやパスタなどで炒めたりするとせっかくの効果も期待できません。 ナットウキナーゼは食べてから2〜8時間ほど効果が続くことが分かっています。そのため血液サラサラ効果を最大にするには、血液が固まりやすくなる就寝中に効果が続くように食べるのがおすすめ。そのため納豆を食べるなら夕食が一番良いと言われています。納豆に含まれるカルシウムと血圧の関係とは?
納豆には、カルシウムが豊富に含まれています。 しかし、「カルシウムは血圧を下げる」という話もあれば、「カルシウムは血圧を上げる」という話も聞いたことがあるかもしれません。 どちらが正しいのかというと、厚生労働省より“血管を収縮させる働きがありますが、同時に血圧を下げる働きもあることがわかっています。”ということで、血圧を上げる・下げるどちらの働きもあることが分かっています。 実際の研究でも、Ca摂取量が多い人ほど血圧が高いという研究もあれば[6]、高血圧を対象にした場合はカルシウムサプリメントをとることで収縮期血圧が2~4 mmHg低下したという研究もあります(血圧正常値の人は変化なし)[7]。 そのため、カルシウムばかり取ればいいというわけではなく、過不足なくカルシウムを取ることに加え、栄養バランスよく食べることで血圧を正常に保つことができると言えるでしょう。 ちなみに、納豆1パックあたりのカルシウム含有量は約45mgであり、1日の推奨量の約5~7%を摂取できます。 【カルシウムの1日当たりの摂取推奨量[8]】・成人男性 750~800mg ・成人女性 650mg
まとめ:納豆で高血圧改善!効果的な3つの成分
納豆には、高血圧の予防や改善に効果がある- ポリアミン
- ナットウキナーゼ
- (カルシウム)
【参考文献】 [1] Health-Promoting Effects of Dietary Polyamines|Medical Sciences [2] Kim, J.Y., Gum, S.N., Paik, J.K., Lim, H.H., Kim, K.C., Ogasawara, K., Inoue, K., Park, S., Jang, Y., Lee, J.H.: Effects of nattokinase on blood pressure: a randomized, controlled trial. Hypertens. Res. 31, 1583–1588 (2008) [3] Fujita, M., Ohnishi, K., Takaoka, S., Ogasawara, K., Fukuyama, R., Nakamuta, H.: Antihypertensive effects of continuous oral administration of nattokinase and its fragments in spontaneously hypertensive rats. Biol. Pharm. Bull. 34, 1696–1701 (2011) [4] Effects of nattokinase on blood pressure: a randomized, controlled trial [5] Consumption of nattokinase is associated with reduced blood pressure and von Willebrand factor, a cardiovascular risk marker: results from a randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter North American clinical trial [6]カルシウム摂取量と高血圧との関係|日循協誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcdp1974/25/2/25_2_100/_pdf/-char/ja [7]カルシウム|厚生労働省e-jim:https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/01.html [8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」