【管理栄養士解説】血液サラサラで生活習慣病予防!納豆のネバネバ成分の効果とは?

この記事では、納豆のネバネバ成分である「ナットウキナーゼ」と「ポリグルタミン酸」についての詳しい解説と、その効果を最大限にするポイントについて、厚生労働省や論文など根拠のある情報をもとにご説明いたします。

結論から言うと、

「納豆のネバネバ」成分には、主に「ナットウキナーゼ」と「ポリグルタミン酸」が含まれています。

の2つの成分ですが、

ナットウキナーゼ ・血液サラサラ効果 ・血圧を下げる効果 ・認知症予防効果

ポリグルタミン酸 ・コレステロール吸収の抑制効果 ・血糖値上昇の抑制効果 ・カルシウム吸収の促進効果 ・免疫力を高める効果

と健康に効果抜群です。

効果を最大にする食べ方は、

「夕食時、加熱せずに20回くらい混ぜて食べる」です。

納豆のネバネバの成分:ナットウキナーゼ

 

納豆のネバネバの成分である、「ナットウキナーゼ」。

ナットウキナーゼとは、納豆に含まれている「納豆菌」という細菌が作り出す酵素の一種です[1]

納豆菌とは枯草菌(こそうきん)の一種ですが納豆菌の中にもたくさんの種類があり、使う菌によって風味やネバネバの度合い、においが変わってきます。

ナットウキナーゼの効果として

・血液サラサラ

・血圧を下げる

・認知症予防

の3つの健康効果があるとされています。

ナットウキナーゼで血液サラサラ

ナットウキナーゼは、血栓を溶かす酵素(t−PA)を作る働きを助けることがわかっていて、血液をサラサラにし血栓や動脈硬化の予防に役立ちます[2][3]

これにより、血液が滞ることで起こる心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病の予防に役立ちます。

ナットウキナーゼが血圧低下

また、血圧が高めの方がナットウキナーゼを補給すると血圧が下がったという報告もされています[4][5]

血栓があると血管が狭くなり、血を流すために圧をかけないと流れなくなるため高血圧になってしまいますが、ナットウキナーゼの血栓を溶かして血液をサラサラにする効果により、詰まっていた血管が広くなり高血圧を予防してくれるためと考えられています[6][7]

ナットウキナーゼで認知症予防

さらに、ナットウキナーゼはアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイド線維を分解することが分かってきており注目を集めています[8][9]

実際に、日本で男性18,991人、女性22,456人を対象にした大規模調査では女性で納豆をよく食べる人では認知症発症が多少ですが少ないとの結果が出ています[10]。(男性は差がない)

ナットウキナーゼを多く含む納豆の味や風味が苦手な方も多いかと思いますが、最近ではサプリメントなども出ていて注目の成分となっています。

納豆のネバネバの成分:ポリグルタミン酸

ポリグルタミン酸とは、うまみ成分であるグルタミン酸が1万個以上つながったタンパク質で、納豆のネバネバを構成する成分です。納豆の旨味や味に関わってきます[11]

ポリグルタミン酸には、健康や美容に良いとされる様々な効果があるといわれています。

コレステロールの吸収を抑制

ポリグルタミン酸には、コレステロールの吸収を抑制する働きがあるため、動脈硬化や心疾患といった疾患予防にも効果があるとされています。

研究でもポリグルタミン酸を含む納豆を食べることでマウスの肝臓の脂質と中性脂肪の量が有意に低くなったとの報告がありコレステロールの吸収を抑制する働きが示されています[12][13]

血糖値上昇の吸収を抑制

ポリグルタミン酸を含む納豆を食べることで血糖値上昇を抑制してくれる可能性が示されています[14][15]

カルシウムの吸収促進

ポリグルタミン酸(γ-PGA) は、腸でのカルシウム吸収を促進してくれる効果がみとめられています[16]

免疫力を高める効果

ポリグルタミン酸は、免疫にかかわる細胞を活性化させて免疫力を高める効果があります。これにより、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります[17]

保湿効果

ポリグルタミン酸は保湿効果が高く、化粧水などとして使用する場合美肌効果も期待できるとされています。

最近では、納豆化粧水などポリグルタミン酸を配合の化粧品が発売されています。

・皮膚表面に膜を作り、肌を守る

・肌の内側の細胞を活性化させて、アミノ酸など天然の保湿因子を増やす

納豆に含まれるポリグルタミン酸の肌への効果として、お肌の機能を高めて乾燥や肌トラブルなどが気になるお肌の機能を正常にしてくれる効果が期待されています[18]

納豆のネバネバ効果を最大にする食べ方

 

納豆のネバネバにはたくさんの健康効果があることが分かりましたが、食べ方を間違えると効果も減ってしまいます。

「夕食時、加熱せずに20回くらい混ぜて食べるのが一番おすすめです。

ナットウキナーゼは熱によって効果がなくなってしまいます。納豆チャーハンやパスタなどで炒めたりするとせっかくの効果も期待できません。

また、納豆に含まれるポリグルタミン酸は、加熱調理や冷凍保存すると減少するため、納豆を食べる際には、できるだけそのまま食べるのがおすすめです。

ナットウキナーゼは食べてから2〜8時間ほど効果が続くことが分かっています。そのため血液サラサラ効果を最大にするには、血液が固まりやすくなる就寝中に効果が続くように食べるのがおすすめ。

そのため、納豆を食べるなら夕食が一番良いと言われています。

ちなみに、納豆をたくさんかきまぜても栄養面に変化はありませんが、粘り気の成分であるグルタミン酸が旨増えるため、旨味が多少増すかもしれません。

まとめ:納豆のネバネバ成分の効果がすごい

納豆のネバネバの効果は、以下のようになります。

ナットウキナーゼ ・血液サラサラ効果 ・血圧を下げる効果 ・認知症予防効果

ポリグルタミン酸 ・コレステロール吸収の抑制効果 ・血糖値上昇の抑制効果 ・カルシウム吸収の促進効果 ・免疫力を高める効果

納豆のねばねば効果を最大にする食べ方は、

「夕食時、加熱せずに20回くらい混ぜて食べる」です。

納豆のネバネバの成分にはたくさんの効果があることが分かっています。ぜひ、納豆を日々の食生活に取り入れて健康や美容に役立ててみてください。

 

【参考】


[1] https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/63/7/63_KJ00010095876/_pdf/-char/ja

[2] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/106/12/106_793/_pdf/-char/ja

[3] https://link.springer.com/article/10.1007/s10719-015-9620-8

[4] Kim, J.Y., Gum, S.N., Paik, J.K., Lim, H.H., Kim, K.C., Ogasawara, K., Inoue, K., Park, S., Jang, Y., Lee, J.H.: Effects of nattokinase on blood pressure: a randomized, controlled trial. Hypertens. Res. 31, 1583–1588 (2008)

[5] Fujita, M., Ohnishi, K., Takaoka, S., Ogasawara, K., Fukuyama, R., Nakamuta, H.: Antihypertensive effects of continuous oral administration of nattokinase and its fragments in spontaneously hypertensive rats. Biol. Pharm. Bull. 34, 1696–1701 (2011)

[6] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18971533/

[7] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27785095/

[8] https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/63/7/63_KJ00010095876/_pdf/-char/ja

[9] Fadl, N.N., Ahmed, H.H., Booles, H.F., Sayed, A.H.: Serrapeptase and nattokinase intervention for relieving Alzheimer’s disease pathophysiology in rat model. Hum. Exp. Toxicol. 32, 721–735 (2013)

[10] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35788776/

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18971533/

[11] https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/63/7/63_KJ00010095876/_pdf/-char/ja

[12] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34631329/

[13] ポリ−γ−グルタミン酸を含有するコレステロール抑制剤https://patents.google.com/patent/JP2011046647A/ja

[14] γ-ポリグルタミン酸が豊富な納豆は、食後の初期段階で食後の血糖反応を抑制します: 無作為クロスオーバー研究

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32784412/

[15] ガンマポリグルタミン酸が豊富な納豆による食後早期の食後血糖値上昇抑制の可能性:ランダム化クロスオーバーパイロット研究

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32230729/

[16] 微生物を利用した機能性食品の開発

https://www.jafs.org/educational_activities_business/open_lecture/open-lecture_25/healthy_eating_habits_association/pdf/senior_food_education06.pdf

[17] http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~uyamaken/pga.pdf

[18] http://www.natto.or.jp/kenkou/nattokin/nat05.html

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