因子分析のよくある疑問と単語をまとめてみました。
因子分析と主成分分析の違いは?
因子分析はいくつかの項目に共通の潜在変数を見つけ出す手法です。
主成分分析はい くつかの項目から成変数を見つけ出す手法です。
ただし、実際の計算方法が似ているため広義の因子分析の1つとして主成分分析を位置づけることもあります
どちらを選ぶかは先行研究を参考にしましょう。
Q.因子分析の回転は必ずやらないといけない?
回転した方が結果の解釈が分かりやすくなる。
必ずやらないといけないわけではありませんが、回転を行うことで解釈がしやすくなります。論文をみているとやっている研究が多く、実際に回転をしないと結果が出ないことが多いので、結局やることになるパターンが多いようです。
Q. 因子分析の直交回転と斜交回転のどっちを選べばいい?
先行研究によります。
斜交回転をするなら、
①プロマックス回転
②直接オプリミン
の順番で。
直交回転をするなら
①バリマックス回転
②クォーティ マックス回転
③エカマックス回転
の順がおすすめ。
やってみて自分の欲しいデータに合いそうなのを選びましょう。
必ず全部やらないといけないわけではありません。
プロマックス回転とバリマックス回転が一般的に用いられていることが多いです。
EZRではプロマックス回転とバリマックス回転しか選択が無いので両方やってどちらか決めるのもよいでしょう。
Q. 回転したあとの結果の見方は?
EZRで出した場合、回転後の数値なので回転無しの場合と同じ見方になります。
回転無しの結果よりも数値の解釈がしやすくなります。
Q. 因子負荷の範囲はどんな値になる?
回転前:1.0~-1.0
回転すると直交回転の場合と斜回転の場合で異なります。
直交回転(バリマックス):1.0~-1.0
斜交回転(プロマックス):±1.0を越えることもあり
Q.因子負荷の目安は?
因子と関連があると考えてよいのは、0.3を目安にすることが多いです。
後は自分のデータをどう説明するかによります。
先行研究を参考にしてみましょう。
Q.検証的因子分析と探索的因子分析は違う?
違います。
「探索的因子分析」は一般的にいう「因子分析」のことで、潜在因子を見つけ出すために行なうもの。
「検証的因子分析」は一種の共分散構造分析で、潜在因子をあらかじめ指定しておいて、それでうまくいくかどうかを試すもの。
Q. 1つのデータで因子分析は1回じゃダメ
何回か行うのが良いです
因子抽出法、因子の数、回転方法などを変えてデータがうまく説明できるように行なう必要があります。
項目を削除したり、因子の数を増減し何回か行なうことが多いです。
Q. 因子分析の因子数はどうやって決める?
一度だしてみて調整。
・スクリープロットから決める
・因子負荷の値から決める
・先行研究から決める
これ!と断定できる決め方はありません。
自分のデータをどれだけうまく解釈できるかに応じて決定するのが一般的です。
先行研究やスクリープロット、因子負荷の値など、自分のデータがうまく説明できるかどうかで因子の数で指定するのがおすすめです。
因子分析の単語一覧
因子間相関 | inter factor correlations | 因子と因子の間の相関を表わすもの。回転が斜交の場合に生じる。 直交回転の場合、因子間相関はない。 |
因子寄与 | variance explained | ある因子で説明できる分散の大きさを表す指標。因子ごとに算出される。 |
因子寄与率 | proportion of variance explained | ある因子によって説明できる割合。 各国子寄与を 観測変数の分散となる観測変数の数で割る方法がよく用いられる。 単に、寄与率ともいう。 |
因子構造 | factor structure | 因子と観測変数との間の相関係数。 直交回転の場合。 因子パターンと同じになるが、斜交回転の場合は因子パターンの値とは異なる。 |
因子数 | number of factors | 因子パターン, 直交回転, 斜回転。 抽出された因子の数。 因子の決め方は、固有値、因子寄与。、解釈可能性などで決めることになる。 |
因子抽出法 | method of factor extraction | 初期解を出すまで行なわれる因子の抽出方法。 主因 子法, 最小二乗法 最尤法などがある。 |
因子得点 | factor score | 各因子のもつ値。 因子得点と因子負荷の積の合計と なるように観測変数を分解していくのが因子分析。 因子得点は直接求めることはできず 推定することになる。 |
因子得点重み付け係数 | scoring coefficient | 因子得点を算出する場合、個々のケースの観測変数 (実際は標準化した値)にこの係数を掛け合わ せていけば因子得点が算出されるようにしたもの。 |
因子パターン | factor pattern | 因子負荷のこと。 直交回転の場合、 因子構造と同じ になるが、 斜交回転の場合, 因子構造とは異なる値 163 になり,因子構造と区別するときに用いられる。 |
因子負荷 | factor loading | 因子の観測変数に対する影響の強さを示すもの。 因 11-14,48 子分析は,この因子負荷を計算することが最大の目 58-60,70- 的となる。 因子の名称を決定するときには,この数 75,162 163 値をみて決める。 因子パターン |
因子名 | factor name | 因子につける名称。 因子負荷などの分析結果 を見て,人間が決めるもの |
カイザーガットマン基準 | Kaiser-Guttman criterion | 因子数を決定するときの基準のひとつ。 固有値が1 以上のものを因子としてとるというもの。 固有値 |
回転 | rotation | 因子軸の回転。 初期解を求めた後に, 一般に初期解 だけでは因子の解釈が難しく, 因子の解釈をしやす いように回転を行なう。 回転には直交回転と斜交回 転がある。 直交回転, 斜交回転 |
共通因子 | common factor | 各観測変数(観測可能な因子)に共通に影響を与える因子。 一般に因子分析というのは、この共通因子を探ることが目的となる。 |
共通性 | communality | 観測変数が共通因子によって説明される程度を表すもの。因子軸の原点からの距離の二乗で表わされる。直交回転の場合、各共通因子に対する因子負荷の二乗和が共通性となる。 個々の観測変数ごとに算出される。 |
共分散構造分析=構造方程式モデリング | covariance structure analysis | 潜在的因子や観測変数などの因果的な関係をあらかじめ仮定しておき、その仮定通りになっているかどうか分析を行なうもの。 構造方程式モデリングとも いわれる。 |
クォーテイマックス回転 | quartimax rotation | 各項目ごとに、絶対値の大きな因子負荷のものと 076 に近い因子負荷のものが多くなるようにする。 実際 には、因子負荷を4乗して、すべての要素の和をと ったものを最大にする。 直交回転のひとつ。 →直回転 |
クラスター分析 | cluster analysis | 多変量データを元に類似したケースをまとめていくつかのグループ (クラスター)に分けていく分析。 |
クローンバックのα係数 | cronbach’s coefficient alpha | 信頼性を示す係数。 因子分析とは直接関係ないが、 因子分析をした後に、 ある因子に関わると思われる 変数の間でどの程度相関があるか (内的整合性) を みるために使われる。 |
決定係数 | coeffcient of determination | 重回帰分析において、 従属変数を独立変数でどの程 度説明できるかを示す指標。 重相関係数の平方が指 標として使われ, 0-1 の値をとる。 |
検証的因子分析=確認的因子分析 | confirmatory factor analysis (CFA)(=observed variable) | あらかじめ因子や観測変数の間の関係を仮定してお き, その仮定通りになっているかどうかを検証する ことが目的で行なわれる。 確認的因子分析ともいう。 |
構造方程式 | structural equation | データの構造を変数間の関係式として表現したもの 一般に共分散構造分析でデータの構造を表現する場 合に用いられる。 共分散構造分析、構造方程式モデリング |
構造方程式モデリング | structural equation model | 共分散構造分析の別名。 共分散構造分析は、構造方程式を立てて、その構造モデルが適合しているかどうかを検証するため、この名称のほうが適切であるとも言われる。 |
固有值 | eigenvalue | 因子分析の初期解を出すときに出てくる数値。 この数値によって, 因子の数を決定する。 で決めたり、スクリーブロットによる場合などがあ る。 |
最小二乗法 | least squares solution | 一般には、観測値と予測値の偏差の二乗和を最小に する方法。 因子抽出法としても用いられている。 |
尺度得点 | score of scale: | 質問紙尺度を構成したときに、 各尺度の値として算出するもの。 |
斜交回転 (斜交解) | oblique rotation | 因子軸を制約なく別々に回転する。 軸と軸が斜めに 65-83 交わることになるため、こう言われる。 斜めに交わ 90.16 ることにより、因子の間に相関が生じる。 →回転, 直交回転 |
主成分分析 | principal component analysis | 観測変数に共通な成分を取り出して合成変数を作りだす分析で、 多変量解析のひとつ。方法がよく似ているため、混同されることがある。 |
スクリープロット | scree plot | 多変量解析 固有値を、因子の数を横軸にとって、固有値の53 変化をプロットしたもので、因子の数を定めるとき に、参考にする。 固有値のグラフがなだらかになる前までで因子の数とする |
ステップワイズ因子分析 | stepwise exploratory factor analysis (SEFA) | 因子分析に組み入れる観測変数を適合の基準など 1 に基づいて変数を増やしたり減らしたりして探索的 に行なう因子分析プログラム。 |
探索的因子分析 | exploratory factor analysis (EFA) | 一般に因子分析というと、この探索的因子分析をさ 56, す。本書での説明は、ほとんどがこの探索的因子分析。 検証的因子分析と区別するときに用いられる |
直交回転 (直交解) | orthogonal rotation | 初期解を求めた後に行なう。 複数の軸の交わる角度 65. を90度にしたままで、回転させる。 直交で行なうと, 因子寄与などの見方が簡単になる。 バリマックス回転など。 |
バリマックス回転 | varimax rotation | 因子ごとの因子負荷が0に近いものと絶対値が大 61 きなものが多くなるように回転をする。 実際には, 80. 因子ごとに因子負荷の平方の分散をもとめ。 その和を最大にする。 直交回転 多変量データをもとに、各ケースがあらかじめ分か 13 っているグループに分けられるかどうかを分析する 14 手法。 多変量解析のひとつ。 多変量解析 (部分相關係數 |
標準化 | standardize | データを平均0. 標準偏差1に変換すること。 具体 的には、データを全体の平均値から引いて、 標準備 差で割ると、 全体の平均0. 標準偏差となり、標 準化される。 因子分析のデータは通常標準化されて 分析されている。 |
プロマックス回転 | promax rotation | 事前回転としてバリマックス回転を行なった後、 因子負荷を何乗かして単純構造を強調し、 それを仮説 行列として,ブロクラステス回転を行なう。 斜交回 転のひとつ. |
累積寄与率 | mulative proportion of variance explained | 寄与率を因子が増えるごとに累積していった値。 い くつまでの因子によってデータが説明できたかどう かを示す指標として利用される。 |