管理栄養士のそらです。今回は、フレイルとはについて厚生労働省などの資料から詳しく解説していきたいと思います。
フレイルとは?フレイルの定義
フレイルとは、「健康な状態と介護状態でサポート必要な状態の中間」を指します。
「虚弱」や「老衰」を意味する英単語が起源です。
「日本老年医学会」のフレイルの定義
「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す英語“frailty”の日本語訳
フレイルという言葉は日本老年医学会が提唱した用語です。
「厚生労働省」のフレイルの定義
厚生労働省では
「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」
という言葉が使われています。
参考:厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 総括研究報告書 後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 研究代表者 鈴木隆雄より
「公益財団法人長寿科学振興財団」のフレイルの定義
フレイルとは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のこと。
フレイルは、身体的機能の低下に加え精神的や社会的機能の低下により要介護状態の前段階である状態の事
フレイルはどんな状態?3つの要素「身体」「精神」「社会」
・「身体的フレイル」
身体的な筋力の低下や移動機能が低下のこと
→そのため、ロコモティブシンドローム(運動器の障害で移動機能が低下)やサルコペニア(筋肉が衰える)は身体的フレイルのひとつに含まれます。
・「精神・心理的フレイル」
定年退職や、パートナーを失うことで引き起こされる、うつ状態や軽度の認知症の状態。
・「社会的フレイル」
高齢になり社会参加から離れることで、社会とのつながりが希薄になり独居や経済的困窮となる状態。
参考:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html
フレイルとサルコペニアやロコモとの違いは?
サルコペニアとフレイル(虚弱)の違いですが、
ロコモティブシンドローム(運動器の障害で移動機能が低下)やサルコペニア(筋肉が衰える)は身体機能の低下を指していますが
フレイルでは身体機能の低下をに加え,精神的な面と社会的な面がプラスされています。
フレイル予防!栄養面のポイントはバランスとたんぱく質
フレイルは早期の介入が大事です。介護状態になってしまうと、元に戻るのは困難・・・。個々がフレイルに気付き、予防や対策すること、管理栄養士などが介入を行うことが大切です。
フレイル予防には食事と運動が重要です。
フレイル予防にはバランスの良い食生活に加え、たんぱく質が重要な栄養素となります。高齢者になると食事量の低下や、噛む力の衰え、あっさりとした食事を好むなどにより、肉や魚などのたんぱく質が不足しがちです。
高齢になると食事の準備が大変という方も多く、市販の惣菜、缶詰、レトルト食品、宅配弁当等を活用することも推奨されています。
参考、図:栃木県保健福祉部 健康増進課より
フレイルとメタボどっち?
メタボではエネルギー制限や、間食を減らす脂肪の多い肉は控えるよう言うことが多いですが、
フレイルでは肉を食べるよう指導したり、間食も積極的な摂取がすすめられたりと真逆の指導内容に・・・
混乱してしましますが、フレイルかメタボは一人一人異なるためここで区切る!といった切り替えが難しいです。
BMIを適正に保つようにし、65歳を超えたあたりからメタボ予防に気を付けつつ低栄養にならないよう意識した食生活を行うよう勧められています。
まとめ:フレイルと栄養はつながりが深い
- フレイルとは、「健康な状態と介護状態でサポート必要な状態の中間」のこと
- フレイルの種類は「身体」「精神」「社会」の3つ
- フレイル予防で栄養面のポイントはバランスとたんぱく質
となります。
医師である吉村氏は、
「フレイル対策に栄養の果たす役割は大きい。低栄養はフレイルを惹起、促進する重要な要素の1つである。フレイルと低栄養の関連、低栄養の治療の効果に対するエビデンスが集積しつつある。適切な低栄養スクリーニング、低栄養診断、栄養治療を行うことで、フレイル高齢者の健康寿命の延伸が期待される。」
と述べています。
参考:総論 フレイルの全体像を学ぶ 7.栄養によるフレイル予防 ②最新の栄養サポート戦略
高齢者が増えていく中で、フレイル予防は管理栄養士にとって今後の大きな課題となっています。
管理栄養士としてできることが何かを考えつつフレイル予防の観点も頭に入れておきましょう!